大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3081号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(判旨)

原判示第一事実によると被告人坂本哲一は土木建築を業とする坂本工業株式会社の社長であるが、茨城県真壁郡小栗村用水普通利用組合が用水堰の改修工事をなさんとしつつあるを聞知するや、運動してこれが請負契約を得べく、高波輝信、森田隼人を通じて小栗村村会議員竝びに右小栗用水普通利用組合の会議員をしている荒山重章にその奔走方を頼み、判示日時、判示場所において請負について盡力して貰うため判示酒食又は現金を供し又は交付したというのである。しかし右事実によると右荒山重章が右村会議員並びに組合会議員として右用水堰の改修工事の請負契約に関して如何なる職務権限を有するや不明である。従つて被告人が右重章の如何なる職務権限の範囲に関係する事項について右酒食を供し又は現金を交付したるかは全然判示されていない。尤も原判示事実には被告人は右重章に請負契約を得るよう奔走方を賴み工事の請負について盡力して貰う為に右の行為をなしたとあるけれども、右の事実摘示のみによつては右重章の如何なる職務権限の範囲に関係して被告人が右の行為をなしたるかは毫も認識し得ない。従つて右判示末尾に「右荒山等の水利組合議員たる職務に関して贈賄し」とあるのは単に抽象的文辞を羅列した無内容の判示にすぎないのであつて、それによつて贈賄罪の構成事実が判示されたことにならないのは勿論である。されば原判決には被告人に贈賄罪の成立すべき事実理由を附せなかつた違法がある。

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